生保営業は非常に入れ替わりの激しい業界・・・それは周知の事実です。あなたもとても辛い思いをしながら懸命にお仕事をされていることと思います。心中お察しします。

時期を定めずに新人が何人も入社したかと思えば、いつの間にか退職しているということも珍しくありません。

加入している保険の担当者がコロコロ変わるというお客様からの声もよく聞きます。大企業であるはずの生命保険会社で何故そのようなことが起きてしまうのでしょうか?

私も大手生保会社の生保レディ5年ほど在籍していました。保険は必要なものであるという信念の基に営業活動を行っていましたが、理想と現実のギャップに苦しみ、様々な事情から退職を決意しました。

今回は「生保レディを辞めたい!」と思い悩んでいるあなたへ、実際に退職した私の実体験をベースにいくつかのポイントをご紹介します。

生保レディを辞めたくなる理由

同僚がライバル

通常の企業と異なり、同じ支社や課の同僚は「仲良しこよし」ではありません。営業成績が一目瞭然でわかる生保業界では、同業他社だけではなく社内の同僚もライバルなのです。

表面上は穏やかな雰囲気であっても、妬みや嫉みが渦巻いている業界です。出る杭は打たれるという格言がそのまま生きている世界と言えるでしょう。

同期入社したとしても、成績が悪ければ自分だけが退職を余儀なくされますし、反対に成績が良ければ昇給し、仲間とはどんどん差がついていきます。

そんな殺伐とした雰囲気ばかりではありませんが、職場の雰囲気や人間関係が悪く、辞めていく人が多くいるのも事実です。

「サイチン」の恐怖

生保営業は個人事業主です。一応各生命保険会社に所属はしていますので、福利厚生や給与規定などは会社の定めた規定に則って業務を行いますが、歩合給であることがほとんどです。

1ヵ月営業活動を行い、1件も成約ができないと歩合が付かないため、基本給から諸々差し引かれた金額しか給料がもらえません。

生保業界ではその給与を最低の賃金=「サイチン」と呼んでいます。営業活動の費用や自分の生活を考えると、「サイチン」は無理・・・という人はとても多いです。

たまたま契約がずれこんだり、見込み客のあてがはずれた場合など、「サイチン」になるケースが多いと、仕事を続けていくモチベーションが保てなくなります。

世間から嫌われている

生保レディに対する世間のイメージは非常によくありません。はっきり言って、生保営業は嫌われています。

  • 自分の都合で不要な保険に入れられてしまう
  • 加入するまでしつこく勧誘する
  • ずうずうしく近寄ってくる「おばちゃん」

そんなイメージが先行して、特に新規のお客様をコンスタントに獲得するのは非常に厳しいのが現実。「中立の立場」をうたっている来店型の保険ショップの台頭もあり、1つの会社の限られた商品を売ることのハードルが高くなっています。

数字が足りず自爆営業はもちろん、家族・友人・知人に契約してもらうなんてのもザラにあります。それも辞めたくなる原因の1つですよね。

営業方法が少ない

生保の営業方法は限られています。

  • ①既存顧客からの追加や紹介・更新
  • ②飛び込み
  • ③DMやテレアポなどの飛び道具
  • ④職域

方法としては一般的ではありますが、通常の営業と異なる点は、この営業方法があまりお客様に通用しないという点です。特に②や③に関しては、他の業種よりも当たりが厳しく、継続して行うことは困難と言えます。

DMやテレアポなどは必要経費が増えてしまうこともあり、なかなか大量にはできません。自分の足で稼ぐしかないと在籍当時の上司はいつも怒鳴っていました。

初歩的な営業方法を常とする業界なんだなあと感じました。

スキルアップが大変

ご存知かもしれませんが、生保業界は資格の世界ですよね。入社に必要な一般課程試験が終われば専門・応用・生保大・FPと次々に試験が待っています。

会社によっては資格手当がつくケースもありますが、仕事をしながら勉強をし続けるというのはとても大変です。

他社生保や損保会社とのクロスセルなどは膨大な研修を受けることになりますが、畑違いである上に商品の特長なども様々であるため、とにかく勉強し続けなくてはいけないのが大きな負担になります。

日々の活動に加え、自分の時間を割いて勉強しなくてはいけない状況がストレスになることもあります。

私は不公平が原因で辞めました

私の所属していた生保会社では、個人顧客より法人営業がメインでした。入社すると担当地域が決められ、その地域で加入をしている顧客のフォロープラス新規顧客の獲得が目標値として定められていました。

まずここで1つ疑問だったのは、割り当てられる地域の格差でした。

車で移動しなければダメなくらい不便で企業数の少ない地域と、ビルが立ち並び多くの企業が存在する地域では既存顧客の数も新規獲得の確率も全く異なります。

にも関わらず、給料のランクや賞与の規定が全く同じだったのです。

必死に営業活動を行っても成約がゼロの月に、繁華街の担当者は既存顧客の新入社員だけで50人以上の追加契約を獲得しているのです。保険種類にもよりますが、この不公平さは一生懸命やればやるほど虚しくなりました。

上司に掛け合っても「どうしようもない問題だ」と一笑に付され、その不公平さには愕然としたものです。

スキルや日々の営業活動など関係なく評価が行われる・・・その実態が明らかになればなるほど嫌気がさしてしまったのです。

生保営業を辞めるべき人・辞めないほうがいい人

では実際にどんな人が生保レディを辞めるべきなのか、どんな状態では辞めない方がいいのかのポイントを紹介します。

辞めるべきではない人

  • 年齢的に再就職が厳しい人
  • 子どもが小さい人
  • 入社1年未満の人
  • 家庭環境に事情がある人

生保レディは非常に年齢層の幅広い職員が在籍しています。私が在籍した職場でも20代から60代の女性が多く働いていました。

その中で特筆すべきは「生保レディのメリットを生かせる人」が存在することです。生保営業に嫌気がさして辞めたいと思っても、年齢的に他業種への再就職が厳しい年代の人は安易に辞めるべきではありません。

家計の足しに、老後のために、子どもの教育費のために、生活してくために。働いている以上は何かしら経済的な理由があってという人が多いです。

そういった場合、次の仕事が決まらない、再就職先がないという状況は死活問題です。

また子どもの年齢が小さい人(特に就学前)は、子どもがいることで就職が難しいという現実があります。パートでさえ「急に休まれると困るから」という理由で、面接すら受けさせてもらえないという話はよく聞きますよね。

生保営業は比較的自由が利きます。そのメリットを活かせる状態の人は、少し頑張ってみる必要があるかもしれません。

また入社1年未満の人は、まだ決断をするべきではありません。何故ならば、生保営業のノウハウや顧客とのつながりが確立されていないからです。

個人事業主であろうと、会社に入社した事実があります。今後の職歴の中で、1年未満で退職したという事実は決してメリットにはならないはず。最低でも1年は「どんな業界なのか」「自分がどこまでできるのか」を試してみることも重要です。

最後に、生保レディはシングルマザーの割合が多い職種です。業界としてシングルマザーに理解を示してくれていることも特徴の1つ。

前述した子どもの年齢が小さく、親族で協力者がいない場合は就職自体が厳しいのが現実です。そのような家庭事情がある人は、転職がうまくいくという確実な保障がありません。

多少理不尽を感じることがあっても、生活のために頑張らなくてはいけないのです。

辞めてもいい人

  • 心身ともに疲れてしまった人
  • 職場環境が悪い人
  • 営業活動ができなくなってしまった人
  • 生保業界に嫌気がさした人

どの仕事においても同じことが言えるのかもしれませんが、職場環境や周囲の人間関係が悪ければ、仕事に対するモチベーションも下がります。心身ともに疲れてしまうことや酷いケースでは精神的に病んでしまうことも。

生保レディは一種の女の園です。女性ならではの人間関係の難しさ、総合職である上司との関係性は非常に難しいものがあります。

また提案から成約までには大きな労力を伴います。審査落ちしたり、部位不担保が付いたりすると、その煩雑さは想像を絶します。営業活動を行うことすら嫌気がさしてしまい、毎日時間を潰している同僚もいました。

他にも競争社会である生保業界自体に嫌気がさし、会社に行くのも嫌だというケースも見ました。そうなった時点で、既に営業員としての役目は担えていません。

無理に活動を行おうとしても思うような結果が出ず、更に負のスパイラルに陥ります。

上記のような状態になってしまっているのであれば、自分のためにも会社のためにも、早い段階で退職をする必要があります。

生保営業の辞め方!退職時に注意してほしいこと

顧客へのあいさつ回り・引継ぎは必須

どんなに成績が悪く、契約が挙がらなかったとしても、自分の担当のお客様はいるはずです。勤務年数が短ければ、中には一度も面識のない顧客もいるかもしれませんが、辞める際にきちんと挨拶をすることは非常に重要です。

直接出向いてのご挨拶が基本ですが、もしお会いできないお客様の場合は、手紙を送りましょう。WORDなどでの文書ではなく、一筆箋でも構わないので自筆で書くのが望ましいです。

新しい商品のパンフレットや請求忘れを喚起するチラシなどを同封するのもおススメ。特に自分が契約を獲得したお客様への挨拶は欠かしてはいけません。

できれば次の担当者と同行すること、大口の顧客の場合は上司も同席した挨拶を行うことも重要なポイントです。

見込み客がいる場合は、信頼できる同僚や直属の上司に報告を済ませましょう。頂いた名刺の裏に情報を記入したり、提出してある設計書の共有も忘れずに。

月末最終日の退職は避けるべき

生命保険会社に所属している場合は、健康保険や厚生年金への加入が義務付けられています。

月末最終日の退職は非常に切りの良い日取りの様に思えますが、最終日を退職日にすると、次の月の分の社会保険料が発生するのをご存知ですか?

最終日に退職し、次の月の1日から社会保険に加入できる会社に行くのであれば問題はありませんが、退職して一旦仕事から離れるという人は要注意。後日保険料の未払い分を請求される可能性があります。

原則、月末最終日の前日までに退職をするのがベストなのです。

生保営業からのおすすめ転職先

生保から生保・損保会社の営業事務への転職

生保営業から事務への転職は非常に多いケースです。理由は、直接の営業活動に疲れ、後方支援に回ることを希望する人が多いからです。

自分が営業として勤務している際に、営業事務の人にはずいぶん助けてもらっているはず。痒いところに手が届く・・・どういったサポートをすれば良いのかがわかっているので、非常に優秀な事務として勤務できる可能性があります。

直接対面での営業に疲れてしまった人にはおススメしたい転職先の1つです。特に、同業他社や損保会社の営業事務は知識が生かせるのでおすすめですよ。

FPとして独立

保険会社での経験がある程度あり、FPの資格を保有している人は独立するという方法もあります。

筆者の同僚は保険会社勤務中にFPの資格を取りました。その後退職し、自宅の一室をオフィスとして構え、訪問も含め保険相談の代理店を立ち上げたのです。

開業当初は収入も安定はしませんでしたが、保険が嫌いではない彼女は非常にやりがいを感じていました。保険会社のシステムに縛られない働き方の1つと言えるでしょう。

コールセンターのオペレーター

生保営業の中で、テレアポをした経験のある人は多いはず。営業活動で培った手法や、ビジネススキルを活かすには、コールセンターのアウトバウンドオペレーターもおススメの転職先です。

生保営業に限らず、様々な案件を扱う企業がほとんどです。スクリプト(台本)が用意されているので、自分で考えて話さなくてはいけないということはありません。

は現在コールセンターに勤務していますが、同僚には保険会社出身の優秀なオペレーターが多数在籍しています。彼女たちが保険営業で培ったスキルは、非常に重要な戦力になっているのです。

生保営業から転職するときのポイント

転職時期を決める

保険営業から転職したいと考えたら、まず転職する時期を考えましょう。一般的に3月や9月は求人数が大きくUPする時期です。また大型連休前や盆暮は求人数も求人の質もDOWNします。

できれば多くの求人が出る時期を狙いましょう。

また各会社の規定や、自分自身の入社時期によって査定月が決まっています。自分の営業成績を踏まえて、査定月を待った方が良いのか、今すぐに動くべきなのかを見極めてください。

転職活動を行う

時期が決まったら実際に転職活動を行いましょう。転職の方法はいくつかありますが、やはりおススメはハローワークです。優良な企業の求人が多いことや、転職先の情報などをきちんと入手できることがメリットです。

また生保営業以外に職務経験があり、資格などを保有している場合は、転職サイトや転職エージェントに登録することも有効な手段の1つです。

自分で求人を探すだけではなく、職務経歴などからヘッドハンティングされる可能性もあるからです。

注意点としては決して焦らないこと。辞めたい一心で安易に転職先を決めることはよくありません。時間をかけて求人情報を収集し、自分の条件や希望に合った転職先を探しましょう。

上司に退職の意向を伝え引継ぎを行う

ここが一番の難関と言っても過言ではありません。退職の意向を伝えることにより、働きづらくなる可能性があるからです。

上司によってはあからさまに嫌な顔をしたり、中には退職を認めないこともあります。営業職員の退職は総合職である上司の評価点にも繋がるので、時期やタイミングをきちんと見計らって報告しましょう。

会社の規定にもありますが、通常は退職の1ヵ月前には退職の意志を報告する義務があります。体調を崩している場合などは例外ですが、くれぐれも休んだまま退職といったようなことは避けたいですね。

退職の意向を伝えてからは、きちんとした引継ぎを行う必要があります。そのためにもある程度余裕を持った報告と、転職先のスケジュールの調整が重要なのです。

まとめ

生保営業は決して楽な仕事ではありません。不公平が渦巻き、運とタイミングで乗り切っているような人間がたくさんいます。そんな世界に嫌気がさすのは経験者として本当に理解できます。

ただ、生保営業にもメリットがあります。メリットとデメリット、双方があるのはどんな仕事でも同じこと。

「辞めたい」と感じた時は、一旦冷静になりましょう。追いつめられていると、焦って結果を出してしまいがちですが、

  • 本当に今辞めるべきか?
  • 辞めたあとの生活はどうするか?
  • どんな理由で入社したのか?

などをもう一度考える必要があります。それでも辞めたいという意志が変わらないのであれば、準備をきちんと行い、転職に向けて活動を開始しましょう。

あなたの現在の状況や置かれている環境を見極め、今後の方針を決めていってほしいと思います。