「縁の下の力持ち役として誰かのサポートをしたい」そんな思いで秘書を目指した方は多いのではないでしょうか。サポート役として様々な業務をテキパキとこなす秘書ってかっこいいですよね。私もそんな秘書に憧れて、学部を卒業後弁護士秘書として働き始めました。
しかし、働き始めてすぐに現実とイメージとのギャップに直面。様々な業務を同時進行し、正確かつ迅速に仕事を進めることは想像以上に大変でした。また、女性の多い職場での人間関係にも苦労し、毎日何度も怒られる日々。人の役に立つことへの喜びも薄れ、だんだん「もうこの職場から逃げ出したい」と思うようになりました。
あなたも私と同じように仕事の悩みを抱えていませんか?
そんなあなたに、私の退職経験談をお伝えします。少しでも参考にしていただけたら嬉しいです。
弁護士秘書⇒大学院(修士課程)へ進学
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(診断時間は約5分です)
弁護士秘書を辞めたくなった理由
この記事の目次
女性の多い職場での人間関係
秘書の職場は、女性の比率が大きくなりがちです。そして、そのような職場は雰囲気が独特で、どうしても人間関係が複雑になる傾向があります。
私の職場も例外ではありませんでした。不必要に気を遣ったり陰口を言い合ったり、同じ秘書の中でも派閥のようなものがあったり。入社直後は職場の人間関係を把握するのにまず一苦労でした。
そして、最も精神的にきつかったのが、いわゆる「お局」の存在です。お局が職場のボスとして絶大な権力を握っていましたが、他の秘書たちの間では煙たがられ、陰口を言われるような存在だったんです。
私も入社後まもなくしてそれに気づきましたが、運の悪いことにそのお局が私の指導係でした。
新入社員で右も左も分からない私は様々な業務を彼女から教わりました。気分の浮き沈みが激しかったり厳しい口調で注意されたりするのに我慢しながら、私は業務を覚えて早く一人前になろうと必死になりました。
しかし、要領の悪い私が仕事に慣れるのには時間がかかり、そんな私に彼女はイライラするように。「この仕事まだ終わってないの?」「今まで何してたの?仕事遅過ぎ」などと高圧的に迫り、私の行動をほぼ全て監視するようになりました。
そして、私が何か間違ったことをしそうになるとすぐに飛んできて、きつい口調でのお説教。別室に呼び出されたことも。これが毎日のように続き、私の心は入社数ヶ月で疲れ果ててしまいました。
将来への不安
秘書として入社したものの、任される仕事は小学生にでもできるような雑用ばかりでした。それも、本来秘書の仕事ではないものが多いんです。
例えば、「さっき医者に行ったんだけど、薬局に寄るの忘れたから薬もらってきて」とか「あそこの中華料理店のお饅頭が食べたいから今すぐ買ってきて」とか「銀行で私用のお金下ろしてきて」とか。
もちろん、新人の頃はある程度雑用をこなすのは仕方のないことだと思いますし、最初の頃は秘書という職業柄そういうこともあるのかなと自分に言い聞かせていました。
しかし、事務所の雰囲気から、何年経験を積んでもそのような業務からは免れられないような気がして。ここではあまりスキルを身につけられないのではないかと漠然と将来の不安を感じました。
スピード勝負の業務の同時進行への苦手意識
上述した雑用を多く任される一方で、スピード勝負の業務もありました。それも、なぜかその業務が一度に舞い込んでくることが多いんですよね。
例えば、会議室の片付けをしている時に、あと10分でクライアントがいらっしゃるからこの資料を全員分コピーしておいてと頼まれるとか、急ぎで文書の作成をしている時に緊急の電話がかかってきて対応しなければならず、さらに別のお客様も来訪した、とかです。
私はもともとじっくり仕事をするタイプなこともあり、スピード勝負の業務が一度に舞い込んできた時はいつもてんやわんやでした。
当時は新人で慣れていないということもあったと思いますが、経験を積んでも私には慣れる気がしませんでした。毎回状況が異なるので臨機応変な対応が必要でしたが、パニックになりそうになることも。
複数の業務が一度に来るのがだんだん怖くなり、自分に自信が持てなくなりました。
社会貢献の実感の薄さ
私はもともと人の役に立つことに喜びを感じ、「困っている人のサポートをしたい」という思いで弁護士秘書の仕事に就きました。
困っている方を支える弁護士をサポートすることで、間接的に困っている方々を支えていることになりますよね。それで社会のお役に立てると思ったんです。
しかし、実際に秘書をしてみて、あまりその実感が得られませんでした。むしろ、上述した小学生にでもできる仕事を毎日こなす自分は、社会に必要とされていないのではないかとまで思うように。
でもある日クライアントから感謝の言葉をかけられて笑みをこぼす弁護士を見て、私もなんらかの形でもっと社会のお役に立ちたいと強く思ったんです。
私の得意を活かした仕事ができれば、今よりももっと社会のお役に立てるのではないかと考えました。
私が弁護士秘書を辞めて大学院(修士課程)へ進学した理由
就職した事務所での秘書の仕事がイメージと大幅にずれていたこと、お局からのいじめやパワハラがひどかったことなどが原因で、結局私は入社半年で退職しました。
退職当時は心の不調が体調面にも影響するほど疲れていました。退職前は転職ができる状態ではありませんでしたが、心身が回復したら転職しようと決めていました。
しかし、私をよく知る周りの人たちから「大学院に進んでみたら?」とアドバイスをもらったことをきっかけに、大学院進学を目指すことに決めました。
研究への興味
私はもともと物事を突き詰めてじっくり考えることが好きなんです。例えば、英語を同じように勉強してもすごいスピードで話せるようになる人っていますよね。
そういう人って何か特別な能力を持っているのかなとか、子供は母語を難なく習得するのに、大人になってからだと言語習得が難しくなるのはどうしてなんだろう、とか。
秘書の仕事をしていた時とは違って自分の好きなことに没頭できることに特に魅力を感じました。大学の学部時代も勉強することはとても楽しかったですし、物事を知れば知るほど自分の世界が広がっていくことに喜びを感じました。
それから、自分で言うのも変ですが、私はかなり真面目な学生だったので色々な先生に可愛がっていただいたんです。それがただただ嬉しく、大学院に進学したらまたそうやって楽しく勉強できるのだろうなと想像していました。
自分が誇れる専門分野で社会貢献
私は昔から自己肯定感が高くなく、むしろ低い方なんだろうと思っています。今でも何をやっても自信がないですし。
そんな自己肯定感の低い私が法律事務所を退職した時、もともと低い自己肯定感はマイナスになっていました。それで、自信をつけるために何か自分が誇れる専門分野を持ち、それで社会貢献ができたらなと思ったんです。
自分に合っていることや好きなことで輝いている人ってかっこいいじゃないですか。私もそんな人になりたいなと。それには、大学院に進学するのはぴったりだと思いました。
私の進学した大学院では資格も取得できましたし。退職後は転職して手に職をつけるという選択肢ももちろんあったと思うんですが、のんびりじっくり型の私には、大学院で修行するのが合うんだろうなと自分でもはっきりわかっていました。
休養期間
とりあえず大学院に進学しておけば経歴に「ブランク」がつかないのも、大学院進学のメリットだと思いました。
言い方はあまり良くないですが。秘書を退職した当時は自分にできることもやりたいことも検討がつかず、また心も体もかなり疲れていました。
なので、次に職を得るのに自分と向き合い、今後の進路について考える「休養期間」のようなものが必要だと思ったんです。大学院の修士課程は通常2年間ですが、休養期間としてはちょうどいいかなと。
大学院に進学すると言ってもその期間ただ研究だけしているというわけではなく、アルバイトをしたりインターンに参加したりなど、様々な経験ができると考えました。
【補足】退職後の正直な感想
実際、退職後に大学院に進学したことは私にとって大きなプラスになりました。授業準備や課題に追われる2年間でしたが、本当に充実していましたよ。
物事を客観的、批判的に捉えたり、物事を論理的に伝えたりする力が養われました。これぞ勉強だと感じましたね。
大学院での勉強は、自分が頑張った分だけ評価されるのも嬉しかったです。修士在学中は大学のプログラムの一貫で海外にも行けましたし、学会に参加するなど、大学院に進学しなければできないようなことをたくさん経験できました。
もちろん、楽しいことばかりではなく、つらいこともありましたよ。授業では毎回積極的な参加が求められますし、期末レポートはレベルが高いですし量も多いですし、提出期限が短いですし。
修士論文は半分泣きながらなんとか書き上げました。ただ、それだけにどこででも必要となるライティング力や伝える力、論理的に考える力などが身に付いたと自負しています。
ただ、1つ大学院のデメリットを挙げるとするなら、授業料ですね。私は環境に恵まれていましたが、大学院進学を検討する時に大きな壁になるのは、やはり経済面だと思います。
でも最近は奨学金が充実しているので、進学したいという強い気持ちさえあればその問題は乗り越えられるかなと。
弁護士秘書を辞めるべき人・辞めないほうがいい人
「仕事を辞めたい」と思っても、本当に辞めてもいいか迷いますよね。
私も退職前はかなり悩み、粘りました。結局心と体が追いつかなくなって退職しましたが、退職直後は「本当に辞めてしまって良かったのだろうか」と自責の念に駆られたほどです。
しかし、様々な経験を積んだ今、あの時に辞めて本当に良かったと思っています。そんな私が考える、秘書を辞めるべき人、辞めない方がいい人の基準を以下でご紹介しますね。
辞めるべきではない人
- 秘書の仕事を始めて3ヶ月未満の人
- 秘書の仕事において自分のベストを尽くして取り組んだことがない人
- 職場環境や勤務形態にそれほど不満がない人
上記のうち、1つでも該当するものがある人は今辞める時期ではないでしょう。もう少し秘書として頑張ってみることをオススメします。特に仕事を始めてまだ日が浅い(3ヶ月未満くらい)時は、秘書そのものの仕事内容が把握しきれていない場合が多いです。
仕事内容が把握しきれていない状態で、自分への向き不向きを判断するって早すぎませんか?もう少し粘ってみれば、何かやりがいを感じられることが見つかるかもしれません。
それから、今までやってきたことの中で、自分のベストを尽くして取り組んだことがない人も、まだ辞めない方がいいと思います。というのも、仕事の向き不向きはベストを尽くしてこそ見えてくると思うからです。
本当は秘書の仕事に向いているのに仕事に真正面から向き合わなくて辞めちゃったなんてもったいないですよね?厳しい言い方かもしれませんが、今の仕事で一生懸命コツコツと取り組めなければ、転職してもまた同じことになってしまうでしょう。
そして、職場環境や勤務形態にそれほど不満を感じていない人にも、「もう少し頑張って」と伝えたいです。秘書は女性が多い職場であることが多く、女性の多い職場ならではの人間関係の悩みで退職を考える人はたくさんいます。
私自身もいじめやパワハラ、陰口などにかなり悩まされました。また、弁護士秘書は基本的に弁護士のサポート役なので、深夜残業や早朝出勤を日常的に強制され、長時間労働を強いられることもあります。
でも、あなたの職場がそうでないなら、それはあなたがある程度恵まれた環境にいると言えるでしょう。あなたは自分の仕事に集中し、スキルアップを目指すのに最適な環境にいます。
ぜひそこでプロの秘書としての自覚を持ち、自分のベストを尽くしてみてください。
辞めてもいい人
- 秘書の仕事が合わない人
- ブラックな職場環境で心身の調子を崩して(かけて)いる人
- 他にやりたいことがある人
上記のうち、1つでも該当するものがある人は、退職を検討してみることをオススメします。まず、秘書の仕事が合わないのに続けていても良いことはないと思います。
何より自分がきついですし、それで良い成果を出せないと会社側にとっても嬉しくないですよね。あなたの能力を活かせる場所は、どこかに絶対にあるはずです。その能力が使われないで眠っているなんてもったいない。
早い段階で退職を考えるのが良いでしょう。
また、ブラックな職場環境も、辞めるかどうかを決める大切なポイントです。恒常的に長時間労働を強いられたりパワハラ、いじめ、嫌がらせなどが横行していたり、そんな職場ではまともに仕事に打ち込めません。
仕事に打ち込めないどころか、体調を崩してしまいます。私が働いていた職場もブラックでしたが、その時に負った傷、特にメンタルに関わるものはなかなか癒えません。
あなたの心と体がやられてしまう前に辞めることを強くオススメします。健康あってこその仕事ですからね。
それから、他にやりたいことがある人も、前向きに退職を検討した方が良いと思います。むしろするべきでしょう。なかなか自分のやりたいことが見つからない人が多い中で、羨ましがられる存在ですよ。
向上心を持ってチャレンジする人は、どんな職場でもうまくやっていけるでしょう。
退職するべきか否かについて、これらの基準はあくまで私の考えに沿ったものですが、退職前は一時の感情で決めず、周りの方にも相談してみると良いと思います。
弁護士秘書を辞めたいあなたに最後に伝えたいアドバイス
私は結局弁護士秘書を辞めましたが、辞めた今、当時を振り返って考えることがあります。それをアドバイスとして最後にお伝えします。
弁護士秘書は誰でもなれるわけではない
弁護士秘書を辞めて今私が思うのは、弁護士秘書って憧れの職業だけれど、誰でもなれるわけではないということ。
今の時代特に事務職は人気ですが、中でも秘書は別格でしょう。多忙な弁護士をサポートする強い意志と責任感がみなぎっていたあなただからこそ、秘書として採用されたはずです。
そんな秘書の仕事を中途半端な気持ちで辞めてしまうのは本当にもったいないと思います。
あなたが弁護士秘書を目指した時の思いや、秘書として頑張ってきたことなどを思い返し、自分が「選ばれし弁護士秘書」であることについて自分と向き合って考えてみてください。
未練はないか、後悔はしないか、それが転職の大きな決め手
仕事を辞めたいとなると、どうしてもその仕事や環境の悪い面ばかりみてしまいますよね。「こんなに働いているのに薄給すぎる」とか「頑張っているのに評価されない」とか。その気持ち、すごくわかります。
でも、秘書をしていてよかったとかやりがいがあったと感じられる瞬間が一度くらいはあったのではないでしょうか?
もしかしたらあなたは今、仕事の悪い面ばかりにとらわれて良い面が見えておらず、それで「辞めたい」という気持ちが強くなっているのかもしれません。
それで辞めてしまえば、あなたは将来きっと後悔するでしょう。そんな悲しいことにならないよう、秘書の仕事にベストを尽くし、未練はないか、辞めても後悔はしないか、もう一度冷静になって考えてみてください。
弁護士秘書の経験とスキルはどこへ行っても活かせる
退職について冷静に自分と向き合って考えてもやはり「転職しよう」と考えているあなたには、弁護士秘書の経験とスキルはどこへ行っても活かせると伝えたいです。
転職するってとても不安ですよね。でも、秘書として様々な業務をこなした経験とスキルはどこででも重宝されるでしょう。
そして何より、秘書の仕事をやり切ったと言えるあなたには自信があるはずです。自信を持ってその貴重な経験とスキルを発揮することが、転職で人生を好転させる鍵になると思います。
まとめ
今秘書の仕事を辞めたいと思っているあなたは、きっと入社前のイメージと現実が食い違っていたのでしょう。私もそうでした。
職場の雰囲気や人間関係、秘書の仕事への向き不向きなど、入社後に「違った」と気づいたことはたくさんありました。そうすると、落ち込みますよね。でも、それをプラスと捉えるかマイナスと捉えるかは、あなた次第です。
秘書は誰もが憧れる魅力的な職業。誰でもなれるわけではありません。だからこそ、辞める前に自分の心に手を当てて、「秘書の仕事を辞めて後悔はないか」と自分に聞いてみてください。
その答えが、あなたの進むべき道を表しているはずです。
ここまで私の退職経験談をお読みくださり、ありがとうございました。少しでもあなたのお役に立てていたら嬉しいです。
まずは、あなたの市場価値を調べてみませんか?
もし、今の仕事が不満なら、ミイダスを使い転職した場合の想定年収を確かめてください。
診断後に無料登録すると、7万人の転職事例ビフォー・アフターが検索できるので、同職業の先輩の転職先も調べることができます。
辞めた後どうなる?を知ることで、何か今の現状を解決するヒントが掴めるはずですよ。
(診断時間は約5分です)