希望に胸をふくらませ、中学校の教師という職業についたあの日。
かつて自分を担任してくれたあの先生のように、日々成長する子供たちに寄り添ってあげたい、夢に向かって進む子供たちを応援してあげたい、とやる気に満ち溢れて教壇に立ったことでしょう。
これは小学校教師であれ、中学校・高校教師であれ思いは同じなはずです。
しかし、どの業界でもあることですが、理想と現実は違うもの。いざ教師として働き始めたら「こんなはずではなかった」という部分が出てきてしまったのでは?
私もかつては「生徒たちを支えてあげたい」という志を持って教壇に立っていました。けれどもだんだんと様々な「こんなはずでは」が積もり積もって教師を辞めたいという思いでいっぱいになり教師生活を終えることとなりました。
以下は私の経験談です。教師を辞めたい、とお考えの方に少しでも参考にしていただければ幸いです。
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中学校教師を辞めたくなった理由
この記事の目次
中学校教師を辞めたくなってしまう理由は人それぞれでいろいろ考えられますが、大きな理由はだいたい以下のようなものだと思います。
親・子供への対応が大変
これは本当に、現代の教師が特に苦労している部分だと思います。
自分が子供だった時代は先生が尊敬されて先生の言うことは多少ムカついたとしても聞く、という子供が多かったし先生も敬われてそれ相応の立ち居振る舞いをしていたと思います。
ところが今は教師の言うことなどどこ吹く風で勝手気ままにしている子供が実に多いのです。しかもそれを親にダメ出ししようものなら逆に教師が叱られてしまうことも。
1つの問題を解決するために、現代の教師は個人に合わせたきめ細やかな対応が求められています。私も、自分のクラスではない生徒が人を差別するような発言をしたため、口頭で注意したところ保護者から担任のところに苦情が来たそうです。
なんでも、「高飛車な教師にうちの子供が・・・」とおっしゃっていたそうで・・・。担任に事情を説明して理解してもらえましたが、本当に愕然としてしまいました。
「自分の生活」がない
民間企業にお勤めで多忙な方もこういう悩みがあるかと思います。教師については先ほど述べた親・子供への対応が大変というところにもつながってくると思いますが、ともかくやらなければならない仕事が多すぎるのです。
絶対的に時間が足りません。
- 毎日の教科指導の準備
- 学級経営、学校行事に向けての準備(あるいはそのための生徒の指導)
- 夜間や休日の部活動指導
- 校務分掌に係る業務
- 受験のある学年なら個人別の内申書作成
など、仕事を挙げたらきりがありません。もちろん、かわいい生徒たちのためなら苦にならない部分もあるのですが、ともかく時間が足りないのです。
結局自分の時間を削り、自分の生活=教師生活になってしまいます。
私は英語担当でしたから教科のコマ数も多い上、運動部の顧問もしていました。授業が終わり夕方から夜8時ごろまでは部活、家に帰ってやりきれなかった教科指導の準備、休日は半日練習か、練習試合などで1日朝から夕方まで引率で出かけることもしばしばでした。
今改めて考えてみて本当に自分の時間をとれていなかったなあとしみじみ思います。
実績が残りにくく、つぶしがきかない
教師という仕事は何年もやってきても会社のように契約をとったとかプロジェクトが成功した、いくらの利益が上がった、というように数字として実績が見える形では残りません。
私立学校の教師なら入試実績で舞う◯◯人の合格者を出した、という程度には残りますが日常の業務の実績は全くと言っていいほど形に残りません。
教師は人を育てる仕事で、生徒に自分の教えたことが息づいているという実感が得られますが、例えば履歴書に書けるようなスキルが身につくということはほとんどありません。
私自身は英語担当の教師だったのですが、教師をしていた数年間の間に世間で通用する英語関連のスキルは残念ながらほとんど身につかなかったというのが事実です。
教師として、教えるということについては慣れましたが、自分がこの仕事をこの先も続けて一体何が残るだろうかとそこはかとなく不安な気持ちになりました。
教師としてのつとめを果たすのがきつい
特に若い時によくあることですが、子供たちが年の近い自分にとてもフレンドリーに接してくれます。それ自体は全く問題はないしうれしいことです。
しかし、だからといってただの仲良しでは困ります。規則を守れていないならしっかりと守るように指導し、学業がふるわないのであれば相応に指導しなければなりません。ここが難しいところで、教師と当該生徒との認識がずれていた場合は大変です。
もし子供のほうで教師を仲良しな間柄と認識している場合、指導方法を誤れば即トラブルに発展します。その子供がクラスのリーダー的な存在である場合、クラスメイトに呼びかけて授業をボイコットするかもしれません。
根も葉もない噂を流されることもあるでしょう。
私は同僚がそういうトラブルに見舞われたのを目にしました。子供のことを思いやり、教師として当たり前の「仕事」をしたばかりにそれまで築いてきた周囲からの信頼も崩れ去ってしまいました。
教師としてのつとめを真面目に果たそうとする教師ほど、こういったことも起こりうるのだという怖さを感じました。
学級崩壊・授業崩壊に耐えられない
これは本当に本当にきつい、の一言に尽きます。私もある年に自分のクラスでなく、教科指導に入っていたクラスが学級崩壊でとんでもない状態でした。
30人ほどのクラスでチャイムが鳴ってから授業に行くと、席についているのは5人ほど。あとはまだ休み時間のままです。通りかかった担任が注意すると「うるせえ!くそババア!」の暴言。
その発言をした生徒のまわりではゲラゲラと大きな笑い声があがります。
こちらの注意に1度は着席するもののしばらくたてば席を離れ、教室の後ろで野球(!)が始まり、席にいる生徒もゲームを公然と始めたり、まるで教科書をひらくがごとく漫画を読み始め・・・と全く収拾がつかないのです。
こんなクラスでも授業をちゃんと受けたい生徒もいますから、遊んでしまっている彼らにある程度までの指導をしたら教科指導も進めていかなければならず・・・。毎回毎回本当にきつい1時間でした。
このクラスの教科指導に入っていた別の教師は精神的に参ってしまい退職してしまいました。
私が中学校教員を退職した理由は生きていくのに耐えられなくなったから
教師を辞めた理由は上に挙げたこと全てが背景にあります。教師としてこれから生きていくのには耐えられない、と思ったからです。
独身で自分のことだけやっていればとりあえず大丈夫なのでそれまではなんとか生活してこられましたし、先ほど述べたようなクラスはあったにしても生徒には恵まれていたほうだったと思っています。
しかし、これから先、将来のビジョンが正直全くみえてこなかったのです。年をとっても今と同じように生徒への対応ができるのかの不安もありました。
スキルアップしたくても自分の時間が確保できずいたずらにただ年を重ねていくだけの状況に耐えられなくなり教師を辞めたのです。
中学校教師を辞めるべき人・辞めないほうがいい人
辞めるべきではない人
まず、教師になって2~3年目くらいまでの方。ぜひまだ辞めないでください。
1年目は初任者研修があり多忙をきわめていたと思います。3年目くらいでやっと落ち着いて自分なりの考えをもって教師としての毎日を送れるようになってきたのではないでしょうか。
ただ仕事が多くて大変、忙しいから大変、という理由だけで教師を辞めて転職したとしても同じ状況にならないとは限りませんから、もう少し続けてみてから検討してほしいです。
また、自分を必要としてくれている児童生徒が一人でもいるなら、その子を大事にしてあげてほしいです。思っている以上にその子にとって先生が大事な存在かもしれません。
生徒に合った指導計画を立ててそれが現在進行中の人も最後までぜひやり遂げてください。
辞めてもいい人
教師としての仕事というべき生活指導や教科指導が苦痛になってしまった人や、生徒とのコミュニケーションが苦痛でたまらないという人は辞めてもいいでしょう。
言うまでもないことですが、教師の仕事である「指導」が苦痛でうまく進められなくなっているようでは子供たちの将来への影響が心配です。精神的に追い詰められてしまっている場合は特に無理をして続けないほうがいいと思います。
辞めるかどうかは数年教師として働いた上で判断するべきです。その時点で他の職につけるような資格やスキルを持っていて、自分の適性が教育界とはもっと別のところにあると認識しているなら他業界で頑張れるでしょう。
辞めてからのビジョンを明確に持って準備をしている人はやめても大丈夫だと思います。
中学校教員を退職するタイミング
中学校教員を退職するタイミングは大きく分けて次の2つになります。
直ちに退職したほうがいい場合
まず、教師をやっていて精神的に追い込まれてしまっている場合はなるべく早く退職すべきです。心が疲れ果てた状態で教師を続けることで、心身ともにリカバリー不能な状態になることも十分考えられるためです。
自分が辞めることにより子供たちに影響があるのではと気になるかもしれません。しかし何より自分自身が心身ともに健康でいられるようにすることが最も大事なことです。
自分なりの区切りを決めて退職する
教師は年度末でひと段落するようで意外とそうでもありません。3月に最高学年が卒業していっても4月にはまた新しい生徒たちが入学してきます。
自分が関わるのが1つの学年だけとは限らないので、生徒たちとの関わりが全くなくなるということはほとんどないといっていいでしょう。私のように部活の顧問をしていた場合はなおさらです。
年度末は学年が変わる時期で次年度に担当する学年などが決まってくるのでそういう意味では区切りにしやすいのですが、この年度末というのはちょうど高校総体の予選の前の大事な時期に当たるのです。
高校で運動部の顧問をやっている場合、この時期までで辞めるとはなかなか言いにくいです。私もそうでした。しかしそうも言っていられないですよね。
教師を辞めるということはある意味では生徒を見捨てて行かなければならないということです。何らかの関わりがある以上は見捨てたくない、と言っていると先ほど述べたようにいつまでも終わりが見えませんよね。
私は部活のことには目をつぶって入学以来ずっと自分が担当教科を教えてきた、言ってみれば一番つながりの深い学年の生徒たちが卒業するのに合わせて退職をしました。退職時期を考える場合、どこに重きをおいて決断を下すかをよく検討してみてください。
中学校教師から民間企業への転職方法
中学校教師からの転職の実態
中学校教師は比較的安定した職業なので転職したいという人はそれほど多くはないかもしれません。また、急に教師になろうとしてなった人より、学生のころからずっと教師になろうと考えて進学先を決め、学んできている人が多いのも特徴です。
教師一直線で他の選択肢を考えることなく進んできたため、言い方は悪いですがつぶしがきかないという一面もあるのが現実です。
そんな中でも教師から転職した方を何人か知っていますが、転職先は様々で専門とする教科によってかなり異なっています。
企業での翻訳・通訳や一般的な事務職に転職した人もいます。教師を辞めても「教える」ことは続けていきたいという人は塾講師、体育を専門とする人は子供向けの運動教室のインストラクターに転職しました。
また、転職サイトのデータを見ると、営業職(法人営業)が最も多く、次いで教育関連、次に事務職に転職される方が多いようです。
情報をしっかり集め、使えるものは使ってみよう
先ほども述べましたが、教師はある意味つぶしがききません。教師を辞めたいけれど辞めて一体自分になにができるのかと考えると、とても転職に踏み切ることはできないと思えてくるかもしれません。私もそうでした。
「教師を辞めたい⇒辞めても何もできそうにない⇒何か資格をとる?⇒忙しすぎて無理」の無限ループに陥りました。
私はそんな時、信頼できる大ベテランの先輩(教師)に相談して何とか退職に向けて進めていったのですが、後から友人や後輩から転職サイトや転職エージェントを活用した、との話を聞きました。
現役の教師が転職先を探す、これはなかなか難しい作業です。日々時間に追われて過ごしている中で転職先を見つけ出して面接までたどり着くのは至難の業ですよね。
しかも、自分の職場=勤め先の学校のほかの教師どころか生徒たちにも顔を知られているわけですから、もし万一休日にハローワークへ行ったりしているところを見られたりしたら大変です。
転職サイトを利用したのは自分が出向かなくていいということと、好きな時に転職先探しをできるという点だったとのこと。これは教師にとっては助かりますよね。
転職エージェント推しの後輩は、教師を辞めて自分がどういう職業に就くことができるのかを自分一人では把握できずに転職サイトをうろうろ、なかなか次の1歩が踏み出せずにいたそうです。
彼女は転職エージェントを利用して自分の持っているスキルを客観的に見てもらい、思っていた以上に語学力があったため、それを活かした職種に的を絞り、貿易事務の仕事に転職していました。
教師をしている人の中では、公立でも私立でもいいからともかく教職1本、で考えていて、大学生の時に一般企業への就職活動をほとんどしなかったという人も珍しくはないと思います。教師の世界はかなり特殊です。
そのため、教師を辞めたいけれども転職が不安で・・・というような場合は、特に転職エージェントの力を借りるのがいいのではないでしょうか。
私も退職した際に転職エージェントのことをもっとよく知っていたら使ったのに・・・と悔やまれます。
まとめ
中学校教師という職業はかなり特殊です。その特殊な環境に身を置いてきたからには、特に教育関係以外の職に転職をする場合はかなりの覚悟が求められます。
しかし教師だからこそ、転職をすべき時もあるのです。
教師としての自分が「何か違う、自分の適性はここにはない」「こんな状況では続けたくない、続けられる気がしない」などと思いながら続けていくより、自分が熟慮してこうと決めた方向に進むことこそ、信頼してくれる生徒たちに示すべき姿ではないでしょうか。
私は教師を辞める時、直接関わりのある教え子たちには自分の考えを全て話しました。進学した後にも社会に出た後にも、似たような悩みを持つことがあるかもしれないと思ったからです。辞めると決めても辞める日までは教師ですからね。
スムーズに次の仕事に移れるよう、教師を辞める時には転職エージェントなど役に立つものをぜひ全て活用して万全の準備をして下さいね。
まずは、あなたの市場価値を調べてみませんか?
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(診断時間は約5分です)