学生時代、将来を考えた時に「数学好きだったし数字を扱う仕事が向いているかも」と考えて私は税理士の学校へ進学しました。おそらく本文を読まれているあなたも私と似たように税理士になることを漠然と夢描いているところから始まったのではないでしょうか。
私の場合、勉強していくうちにその難しさに挫折してしまい、学校卒業後は一般企業に就職して経理として働きました。
しかし、やはり税理士の夢を諦められず税理士事務所へ転職し税理士の資格取得へ向けて再度勉強を始めましたが、税理士独特の人間関係と業務に圧倒され税理士になる前に退職し、現在は一般企業にて総務経理をしています。
この税理士独特の人間関係と業務について実際に勤めた方なら共感していただけることがあると思います。「もう税理士の仕事を辞めよう」と考えているあなたに参考になるよう私の体験談をお伝えします。
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私が税理士事務所を辞めてIT企業の経理職へと転職した理由
この記事の目次
- 税理士事務所の業務と環境が過酷だったから
- プロの事務員になりたかったから
- 自分の力を試したかったから
- ITの知識をつけたかったから
私が税理士事務所を退職した理由はいくつかありますが、一番は一般企業で経理として実務を覚え、その後税理士事務所で専門的な知識をつけていく中で、目指す方向が税理士になることではなく、事務全般が分かるプロの事務員になりたいと思うようになったことが大きくありました。
当時勤務していた税理士事務所がいわゆるブラック企業で、毎日深夜まで残業しても、毎週休日出勤しても、働けど働けど仕事が終わらない・・・。ストレスしかない日々でした。
これが自分一人であれば自分の力不足とも思えるのですが、所長以外の社員はみんなこういった状態で全員が終わりが見えない状態でしたし、そんな労働環境なので毎月1人のペースで離職者が発生しているのを目の前でみていました。
「このままではいずれ自分も潰れてしまう」と考えた私は退職を検討し始めており、プロの事務員になるという目標もできたことで良いタイミングかと思い転職を決意しました。
転職先を考える上で重要視していたことは、経理以外に総務も同時に経験させてくれることです。プロの事務員を目指す上で、例えば通常は総務部が社会保険の加入手続きをして経理部が支払い手続きをするという一連を一気通貫で経験することが必要と考えたからです。
製造業等いくつか企業の候補はありましたが、転職先にはIT企業を選びました。これからの仕事はデジタル化がますます進むと言われている中で、事務員といえどITの知識も多少持っておいた方が後々良いだろうと考えたからです。
実際、勤めているIT企業では総務経理としての勤務でしたのでプログラマー的な仕事はしておりませんが、社内のエンジニア同士の会話を聞いているうちに多少ではありますが、ITの専門的な知識もついてきました。
税理士事務所を辞めるべき人・辞めないほうがいい人
税理士事務所の退職を考えているあなたに少し考えてほしいことがあります。
それは、辞めた後の自分の姿についてです。税理士の仕事は難しい上に多忙です。ただ、もしもそれが理由で辞めたくなっているとすれば、おそらく次の転職先でもまた同じように難しさと忙しさが重なったときにつまずくことが想像されます。
同じところでつまずかないよう、辞めた後に自分がどう働いて生きていくかのイメージをしっかりと持つことを一度考えてみてください。
辞めるべきではない人
- 次のキャリアビジョンがない人
- 秋の年末調整から春の3月決算法人の確定申告までを経験していない人
- 職場の人間関係が良好な人
上記3点のいずれかに当てはまる人は、私はまだ退職しない方が良いと思っています。
なぜなら、これは私の反省をこめた話ですが、私が税理士事務所を退職する際、私はプロの事務員という目標はあれどあまり深くイメージしておらず、とりあえず目の前の激務から逃げたいという思いの方が強い状態で退職しました。
これが良くなかったことを転職活動時に少し後悔しました。次の仕事は具体的にどういう仕事をして目標へ向かっていこうかということを悩みました。
また、税理士業界は一年のうち秋から春にかけてが繁忙期で、それ以外は比較的緩やかに過ぎていきます。この繁忙期の仕事は激務ではありますが税理士事務所にいなくては経験できない仕事で、今の自分の業務でも多分に活きています。
気が遠くなるほど働く時期ではありますが、この時期を経験しておくと次の職場でレアな人材となり活躍することができると思います。
私の事務所は残念ながらそうではありませんでしたが、職場の人がすごく優しかったり働きやすい職場で勤めている方も退職は思いとどまった方が良いと思います。税理士業界は、企業の社長さんから「先生」と呼ばれて若くても崇められる特殊な業界です。
のためか変にプライドが高く偉そうに働き、部下へパワハラを行う人をよく見ていました。他事務所で働く友人税理士の職場でもそうだと聞きました。
もちろんそういった方だらけではありませんが、もしそういったこともなく穏やかに働けているのであればその職場は当たりです。退職するのがもったいなくないか考えなおすことをオススメします。
辞めてもいい人
- 精神疾患を患っている、もしくは疑いのある人
- 税理士の仕事が嫌いな人
- 報酬が生活に困るほどもらえていない人
前項でお話したとおり、私の勤務していた事務所は1か月に1人のペースで鬱などの精神疾患が理由で退職者が発生している職場でした。私の事務所は少し多めだったようですが、税理士事務所における精神疾患は割とあるあるの話で、薬を飲みながら働き続けるという方も職場にはいました。
私は世の中には星の数ほど仕事があるから過度に我慢せずに自分に合う職場で働けば良いと思っている人間なので、こういった破滅型の働き方には反対派です。ですので、メンタルが怪しい方は辞めることをオススメします。
また、実際に税理士の世界で働いてみて、魅力を感じず苦痛の中働く方もいると思います。これも同様に、自分に合う仕事を考えて探すことをオススメしたいと思います。
税理士事務所は個人経営が多いので、給与体系も社員へは低く、所長には高く設定されている事務所も少なくありません。例えば給与から家賃など必要経費を支払うと貯金に回せるだけの金額が残らないなど、生活していくに困る状態でしたら生きていくために必要な判断という意味でより報酬がいただける職場を探す必要があると思います。
税理士事務所からのおすすめ転職先
一般企業の経理
だいたいの一般企業の経理部員の知識は、初級~中級程度の人が多いです。管理職クラスになってようやく中級~上級の専門的に分かっているというレベルになります。企業によっては困ったら税理士に聞くからと言って管理職でも知識の浅い人もいます。
そんな世界ですので、税務に明るい人というのはレアで即戦力になります。税務に詳しい人が経理部員に1人いれば、節税対策を提案できたりして企業内で非常に活躍することができます。
企業の顧問税理士も節税の提案はしてくれますが、税理士の企業訪問は月1回訪問してくれれば良い方で、つきっきりで関わってくれている訳ではないので小さな節税は面倒くさがって提案してくれないこともあります。
そこをケアできる存在になれるので、税理士事務所からの経理というのは一番オススメできます。
一般企業の総務
税理士の仕事は税務の仕事だけではなく、企業の困りごとを解決する何でも屋に近いものがあります。私も顧問先から経理に関する質問と同じくらい総務に関する相談を受けていました。
本来は顧問契約外であっても調べて対応することになるので、やっていくうちに総務の仕事に明るくなり、税理士事務所経験者は総務の知識もある程度ついている状態になります。
この状態で一般企業の総務へ転職すると、これも一般企業の経理への転職と同様に即戦力となることができると思いますので、オススメします。
社労士、行政書士
これはオススメ度は低いですが、社労士や行政書士も選択肢に入れることができると思います。
仕事柄どちらの仕事とも連携して行うことがあるので、税理士事務所が社労士事務所も兼務して運用しているというケースは割とある話です
ただ、資格取得の必要があることと、難易度も高い資格ですので簡単にオススメするには少し微妙な転職先とは思います。
税理士事務所から転職するときのポイント
税理士事務所から転職する際にどういったことを考えてどう活動していったか、時系列で少し具体的に説明します。
まず、税理士事務所からの転職を決意した私が最初に取った行動は、市場の現状を把握するための転職サイトのチェックでした。いくらやりたいことがあっても求人が出ていなければ絵に描いた餅となります。ですので現状を把握し、目標を達成するためのステップの修正を考える必要があると思い転職サイトを数サイトチェックしました。
把握できたら、あとは自分の将来のシナリオを描きながら求人へ申し込みし、転職活動をしました。採用面接では税理士事務所の退職理由を聞かれましたが、自分の目標を語ることでポジティブな印象を与えそのまま内定をいただき、転職活動を無事成功することができました。
上記のことから、税理士事務所から転職する際のポイントは、自分の次のキャリアを考えることができているかが言えると思います。
まとめ
税理士事務所に勤めたことを振り返ると大変でツラかったことしか記憶にありませんが、転職先で活躍できていることもあり今となっては非常に良い経験をしたと思っています。
税理士事務所を経験することで得られる知識は非常に多いですし、その知識は専門的なのでレアな知識です。
この記事は税理士事務所を辞めたいと考えているあなたの背中を押したいという意図はなく、働き続けること、辞めることはもちろんあなたの自由ですが、自分が将来何をしたいか、そのためにどう働いていくかを考えた上で進んでいくことが大切だということを伝えたい記事です。
現在税理士事務所に勤めていて退職を検討しているあなたにこの記事が何かの一助となれば幸いです。
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