運送業には過渡期が訪れています。大手宅配会社の問題行為がピックアップされてからというもの、運送会社各社は勤務体制の改善に努めるようになってきました。
でもそれは大手企業の話・・・。中小企業のトラック運転手はまだまだ過酷な状況に置かれているのです。
私は4トン車での配送業務に6年ほど携わり、食品の配送・引っ越し・重機の配送など様々な業務を行いました。人間関係の煩わしさは少なかったものの、業務内容のキツさが原因で退職を決意しました。
これから変化が起きる可能性も否めませんが、全てのトラックドライバーが優遇されるような時代ではありません。
トラックドライバーを辞めたい!と思う理由を、実体験を基にピックアップしてみました。そのいくつかをご紹介したいと思います。
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(診断時間は約5分です)
トラックドライバーを辞めたくなった理由
この記事の目次
手積み手降ろしはキツイ!
トラックドライバーと言っても、所属している会社によって運んでいる物は様々です。食品から資材、土砂、車両など実に多彩な物品の配送を行っていますよね。
その中で一番キツイのが「手積み手降ろし」のケースです。自分の手で積み込みを行い、当然荷降ろしも自分の手・・・特に大型になれば積んでいる量も半端ではありませんから、その時間と労力は非常に負担となります。
私は最初に大手乳製品会社の配送を行いました。牛乳・ヨーグルト・ジュースなど、水物は非常に重いんです!
おまけにケースに入った商品がコンベアー流れてくると、その商品をカギ棒で引っ張り、5段や6段と自分で積み上げながら積み込みをしなくてはいけませんでした。
当然配送先でもすべて手作業・・・給食で使う瓶の牛乳は1ケース約20キロ。高さのある荷台から冷蔵庫への納品はとても大変でした。
また引っ越しも大変でした・・・ゲートがあるとはいえ、家からトラックまでは当然自分の手で運ばなくてはいけません。人手のある時は良いですが、本の詰まった段ボールやタンス、冷蔵庫など重い上に気も使わなくてはいけないので、神経をすり減らしていました。
フォークで積み降ろしができる重機やパレット、土砂などを運搬するダンプなどは例外ですが、とにかく運んでいる物によってはものすごい身体的な負担になるのです。
不景気な業界自体がキツイ!
トラック業界は不景気の波が渦巻いています。特に長距離や中距離などは「家に帰れないのに給料が安い」と断る人も多くいるほど。
バブル時期は運賃も非常に良かったため、多少キツクても「稼げるから」と頑張る人たちがいました。運転免許だけあれば稼げる!と言われていた時代もあったのですが、現在は違います。
労働条件のキツさや就業時間の長さと給料が比例しないことから、他業種や条件の良い同業他社に鞍替えするケースが多発しているのです。
こんなに働いているのにこれしか給料がもらえない・・・。
これは働く意欲をなくす最大の原因ですよね。不景気であるが故に給料が安い→仕事がないと困るから安い単価で仕事を請け負う→労力に見合わない賃金しかもらえないという負のスパイラルに完全に陥っているのです。
収入の不安定さがキツイ!
トラックドライバーが稼ぐには走ってなんぼの世界です。運ぶものがなければ収入には繋がりません。
運送業界には俗にいうブラック企業が多いのも事実。有給休暇の制度や収入の保障がない会社も多々あります。仕事がないから休みイコール賃金が貰えないという不安定さが常にあるのです。
大手の運送会社は基本給がきちんと決まっていることもありますが、その設定は決して高くありません。日給月給の会社も未だに多く、歩合給をもらってこその業界なんですよね。
この傾向は地方に行くほど顕著です。都市部の運送会社との賃金の差は歴然としていて、同じ運送業界なのに賃金が2/3、1/2というケースも珍しくありません。
住宅ローンを抱えていた元同僚は、あまりの不安定さにトラック運転手をしながら建設業でアルバイトをしていました。不安定さが原因で生活ができないと辞めていく人は後を絶ちません。
運送業界ならではの傾向なのかもしれませんが、とにかく安定した収入を得るには厳しい現実が待っているのです。
人手不足の状態がキツイ!
トラックドライバーは未曽有の人手不足に見舞われています。
若者の車離れに加え、運転手の高齢化なども原因の1つなのですが、やはり収入と労働内容が見合っていないというデメリットにフォーカスされてしまっている傾向があります。
「人手不足⇒荷主の仕事を請け負えない⇒会社の収益が減る⇒給料が上がらない⇒人が辞めていく」という現状があるのです。
また2007年の道路交通法の改正も人手不足に拍車をかけています。今までは普通免許で運転できた5トン以上11トン未満のトラックに中型免許が必要になったことで、免許を取り立ての若者が参入し辛い状況になったのです。
また以前より大型免許の取得が厳しくなったことも原因の1つとして挙げられますよね。
Eコマースの台頭により、物流は必然的に増えてきています。その状態にもかかわらず、給料も上がらない、労働条件ばかりが過酷になっていくという状況が人手を確保できない最大の原因だと言われています。
人手不足だろうがなんだろうが、現在就業している人はそのあおりを受けることになります。荷物を運ばなければお金になりませんから、その勤務条件はどんどん苦しくなっていくのです。
社会的地位の低さがキツイ!
トラックドライバーは「底辺の仕事」と言われることが多いです。
運転免許さえ持っていればいつでも働ける、学歴は関係ない、入社に難しい試験はない・・・確かに、働き始めるにあたってハードルが低いのは事実かもしれません。
でも現実は違いますよね?トラックドライバーはプロです。けん引や危険物取扱者の免許を持っていたりする人もいます。「何でこんな大きな車を運転できるんだ?」と思うような車輌をいとも簡単に操ることができるのです。
それなのに、社会的地位は低いというのが現状。サラリーマンであることに変わりはないのですが、「トラックドライバーやってます」と答えた時の「あ~」という微妙な反応を体験したことはありませんか?
「運転免許さえあればできる仕事」とあからさまに言われたことも多々あります。その社会的地位の低さは収入の低さが原因かもしれません。
バブル期のトラックドライバーは本当に稼いでいました。会社に所属せずに自分でトラックを購入し、持ち込んでいる人も多くいたくらいです。1,000万円以上する車両を購入した上で利益を出せていたのですから、現在との落差には驚きます。
ただし現在は収入の低さがクローズアップされ、新3K(キツイ・危険・稼げない)の代表のように言われています。実際に働いている人間にとって、この社会的地位の低さは厳しいものがありますよね。
私は過酷な勤務が原因で運送会社を辞めました
私は6年で2つの運送会社に勤務しました。1つ目は乳製品の配送業務。大手食品会社の子会社だった運送部門で、牛乳やヨーグルトなど商品をスーパーや宅配店に配送する業務を行っていました。
この会社のデメリットは、全て手積み手降ろしだったこと!コンベアから流れてくる重たい商品を保冷車に積み込み、客先でも4トンロングの箱いっぱいの商品をすべて手降ろしで行っていたのです。
水物は重いんです・・・特に駅の売店などで売られている瓶の牛乳!1ケース20キロはあるのですが、それを2ケースずつ抱えて降ろすんです。
納品先にもよりますが、大量に注文している所は、1つのところで50ケース以上の注文があります。ちょっとずつ降ろしていたのでは仕事が終わりません。かなり身体に負担のかかるキツイ仕事でした。
車の運転は苦にならなかったので、その後少し条件の良かった同業他社に転職をしました。
その会社は「何でも屋」。木材や鉄関係の資材から重機、文書、引越しまで行うオールマイティな運送会社でした。配送先も多岐にわたり、地場配送から日本全国まで、長距離もある状態でした。
この会社でキツかったのは睡眠時間が確保できなかったこと。
特に長距離の場合、決められた日程が非常にタイトで、寝ずに走らなければ間に合わないということがよくありました。(現在では是正されていますが・・・)
また荷主によっては高速道路が利用できなかったり、積み込みまでに1日以上待たされたりということもありました。
人間関係の煩わしさが少なく、大好きな車の運転ができると飛び込んだ業界でしたが、やはりあまりにも過酷な勤務状態は長く続けることができませんでした。
トラック運転手を辞めるべき人・辞めないほうがいい人
辞めるべきではない人
- 他にできることがない人
- 学歴のない人
- 稼ぎたい人
- 大型免許を取得していない人
- トラックを保有している人
どの仕事にも言えることですが、他に「これ!」という何かがない人は安易に辞めるべきではありません。
これは年齢にもよります。未経験OKという他職種にチャレンジができる年齢なら話は変わりますが、30代後半からになると、他職種への転職は非常に厳しくなります。
また学歴がない人も要注意。トラックドライバーは運転免許があれば即日でも働ける仕事ですが、他の業種はなかなかそうはいきません。
高卒以上・専門、短卒以上・大卒以上・・・一定の学歴や資格が必要なケースもあります。
大型免許を持っていない人も、少し考えた方が良いですね。通常の普通免許だけで運転できるトラックでは、今後の潰しがききません。大型免許を持っていれば、別の仕事で活かせる可能性が出てくるのです。運送会社に入ったのなら、最低でも大型免許は取得しておくべきです。
ドライバーの中にはトラックを自分で購入し、持ち込みで働いている方もいます。雇用形態は様々ですが、トラックのローンが残っているような状態では辞めることは難しいと言えるでしょう。
中古のトラックの買取金額は二束三文と言われています。せめてローンが終了するまでは、頑張って続けるべきです。
辞めてもいい人
- 運転自体が嫌いな人
- 気の小さい人
- 心身共に疲れている人
- 腰痛などの持病が悪化している人
- 年代が若く他の業種にチャレンジできる人
運転手であっても、運転自体が嫌いでストレスになる人がいます。特に長距離ドライバーで運転の嫌いな人は、仕事自体が嫌になっている可能性があります。
トラックドライバーは決して楽な仕事ではありません。運転が嫌いだったり、既に過酷な勤務で心身ともに疲れている人はすぐにでも転職を考えるべきです。
また「知らない道を走るのが不安」というドライバーがいます。現在は多くの会社がナビを導入しているので、ナビがある以上そこまで不安になる必要はないのですが、ルート配送でない限り知らない道を走るのは日常茶飯事です。
知らない場所を走る不安感に押し潰されてしまいそうな気の小さい人は、トラックドライバーには向いていません。トラックドライバーには実に多くの年代の人が働いています。
中でも20代、30代の人はまだ他職種にチャレンジできる可能性が大きいです。年齢的に転職が難しい人はともかく、若い年代でトラックドライバーが嫌になっているのであれば、転職をオススメします。
また職業病とも言われている腰痛。荷物の積み下ろしや運転に影響が出るほどのケースでは、日常生活に支障が出てしまうこともあります。
病院での治療の時間が確保できないというのもトラックドライバーにはよくあること。あまりにも症状がひどい場合は、継続して業務を行うのは厳しいですね。
トラック運転手からの定番の転職先
トラックドライバーからタクシーやバスの運転手
トラック運転手と同業種ではありますが、タクシーやバスの運転手など、とにかく運転に特化した仕事に転職する人は多くいます。
運転経験があれば積極的に2種免許の取得を援助してくれる会社も多く、大手であれば勤務時間や休暇などもきちんと管理されていることが多いからです。
運転が嫌いでないケースや、荷物の積み降ろしが問題だったケースでは定番の転職先と言えます。
トラックドライバーから倉庫業
完全に運転が嫌になってしまった人や、不規則な時間での勤務が負担だった人におススメなのが倉庫業や物流センターでの内勤です。
荷物を集約するセンターなどは、実際に自分が納品していた場合、大まかな仕事の流れがわかります。
まったく別の業界で1から研修というのは年齢的にキツイという場合などは、内勤という条件や馴染みのある業種という理由もあるため、候補の1つに上がると言えるでしょう。
トラックドライバーからルート営業
地場の配送を行っているトラックドライバーはとにかく道を知っています。その経験を活かせるのがルート営業です。
取り扱う商品やサービスによって難易度は異なりますが、営業職は比較的入社がしやすい職種です。
自分の担当する地域の道路事情を知り尽くしているというのは大きな強みになり、運転技術も持っていることから転職しやすい職種です。
トラック運転手から転職するときのポイント
自分のできることは何かを見極める
長くトラック運転手をしていると、自分は何ができるのか、何が得意なのかという自分の市場価値に疎くなります。
例えば、趣味で使っているパソコンに詳しいとか、運転技術だけは自信があるとか、人付き合いがうまく配送先での評価が高いとか、人それぞれ得意な分野があります。
その得意分野を活かすという点で、自分のできること、得意なことは何かを仕事として見極めることが最も重要です。その上で、自分のやってみたい仕事、できそうな仕事をピックアップし、転職活動に入るべきです。
ただ漠然と「辞めたい」「嫌だ」と文句を言うのではなく、「辞めるなら何をするのか」「自分には何ができるのか」を検討した上で、転職活動に入ることが大切なのです。
早めに上司へ相談する
転職をしたいと考えたら、早めに上司に相談することです。
ただし気を付けたいのは、上司や会社の風潮によっては、転職の意志を明らかにしただけで働きづらくなるというケースが考えられます。
「転職を考えている」と相談するのが本来の目的ですが、すぐに辞めなくてはいけないような状況に追い込まれることもあるので、そういう場合は「○月末で退職します」と転職の目安がついてから報告することが必要になるかもしれません。
理解のある上司であれば、相談の段階から話をするべきですが、そこは自分の普段接している上司のパターンによって時期は異なります。
資格が必要なら取得する
自分のやりたい仕事や転職したい企業で、この先資格が必要な場合は、資格の取得を可能な限り挑戦しましょう。私の場合、運送会社を退職した後は職業訓練校に通い、介護の資格を取得しました。
また同僚では料理好きを活かし、調理師の免許を取って転職したケースや、危険物取扱者の資格を取得して、ガソリンスタンドの正社員に転職したケースもあります。
双方とも、資格の取得は必須であったことから、ドライバーを行っている間に資格取得の勉強をしていました。
自分の希望の転職先に必要な資格がある場合や、その資格を取ることで転職の幅が広がるという場合は、できるかぎり挑戦することをおススメします。
まとめ
トラック運転手は決して楽な仕事ではありません。様々な理由から辞めたいと感じることも多いと思います。ただ、法律の改正や荷主企業の取り組み方の変化により、徐々に労働環境が見直されてきているのも事実です。
転職できる若い年代や特技のあるケースで転職を考えるのであれば、選択肢は非常に幅広くありますが、「長く運転手しかしていない」「他にできることがない」といった理由で、転職をためらうケースがあることも多いですよね。
トラックドライバーが培う運転技術や道路の知識を活かしたり、必要な資格を取得することで転職の道は開けます。
少しでも自分にとってプラスになるような転職ができるように検討し、実際に動いてみることが非常に重要なポイントになるのです。
まずは、あなたの市場価値を調べてみませんか?
もし、今の仕事が不満なら、ミイダスを使い転職した場合の想定年収を確かめてください。
診断後に無料登録すると、7万人の転職事例ビフォー・アフターが検索できるので、同職業の先輩の転職先も調べることができます。
辞めた後どうなる?を知ることで、何か今の現状を解決するヒントが掴めるはずですよ。
(診断時間は約5分です)