子どもの頃から病院で働く仕事がしたいという想いがあり、医療ということに興味を持つことになったことがこの仕事に就いたきっかけであります。
その病院で働く仕事でも放射線技師という職種を選んだのは、機器を操作し画像を介して、患者さんの役に立つことができるということに魅力を感じたからです。
それとともに、一番身近な放射線の専門家という役割にも興味をもち、研修会などでは放射線についての情報発信や放射線関係の疑問や質問に答えてきました。
このような想いで15年間に渡ってきましたが、年々、事務的な仕事が増える状況に嫌気がさし、退職を検討するようになりました。もしかしたら、あなたも同様の悩みを抱えているかもしれません。
私は現在、医療機関を管理・指導する行政職員に転職し現在は医療行政に携わっています。
この記事では、転職に至った具体的な経緯や、転職を考える際の注意点などをまとめましたので、ご参考にして頂けると幸いです。
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診療放射線技師を辞めたくなった理由
この記事の目次
病院で働きたいと医療に興味をもち、職業とすることを選び働いてきた診療放射線技師ですが、病院を退職することになった理由を紹介します。
業務内容の変化
医療に興味を持って病院で働きたいという想いには、病気の原因やしんどい原因を検査によって明らかにして、病気を治療することに役立ちたいということが本質にあります。
通常の放射線検査業務以外に、術中撮影などで手術にも加わることもあり、それによってやりがいと達成感を得ることができ、とても満足できる仕事であるという認識がありました。
しかし、手術や緊張感のある検査などの件数が減り、やりがいという部分では薄れてきてしまいました。
健康診断業務の増加
病気を早期に発見したり、病気になる前に対策を取るということが強く意識されるようになり、健康診断の受診者が増えました。
その流れから、会社単位での健康診断の実施も増え、業務の中心が健康診断へとシフトし始めました。
今まではしんどい患者さんなどに寄り添いながら、検査をして、治って元気に帰っていく姿というものを見てきていたことが、健康診断の受診者=お客さんという感覚の元、仕事をするようになってしまいました。
この変化によって、自分が携わりたかった医療はこういうものなのかという疑問を日に日に増していくようになりました。
委員会活動
病院という組織には、いくつもの委員会が存在しています。
あなたの病院でも、感染委員会や危機管理委員会、医療安全委員会や業務改善委員会など、これら以外にも大小さまざまな問題に対応するべく、数多く設置されていることと思います。
開催頻度は委員会によって異なりますが、月に1回のものから1週間に1回のものまでとさまざまです。
勤続年数が増え、経験を積んでくるとこのような委員会の役割も担うこととなります。私の場合は、部署内の人数やそれぞれの役割から、すべての委員会の担当をしていました。
委員会には、委員会資料準備や議事録の作成、委員会決定事項の部署内での情報共有や院内への周知活動など、委員であるがゆえの業務が多くあります。
それらの業務は、本来の検査業務の空き時間や検査業務終了後に、行わざるえません。
そうなると、日によっては事務的に業務での残業が発生します。仕事ですからすべてが業務なのですが、医療従事者としてやりがいのある業務なのかと考えると疑問がわきました。
マネジメントへの移行
勤務先では、業務改善や品質改善などを行うために、マネジメントシステムを導入しました。
導入に当たり、各部署の業務のマニュアル化に着手し、手順や品質を担保するような内部監査機能も導入し、院内の他部署からの目で改善点などをチェックすることとなりました。
このようなシステムを構築し、機能させるには集約する担当チームが必要です。そこに私も選ばれ、中心的な役割の一人となりました。
ある意味ではやりがいのある仕事のようですが、各部署では面倒な新たな業務が増えるシステムという認識です。
そういう認識を持った人たちをまとめて、システムを機能させていく役割は、さらなる業務量の増加となりました。
私が退職した理由は白衣を着て事務作業をすることに耐えられなくなったから
私は、診療放射線技師として働くために、努力をして国家試験に合格しました。
その合格から15年間は、あまり何も考えずにこれが当たり前だと思って病院で働いていたと思います。それは国家資格を取得したのに、この資格を利用せずに他の仕事をするということは考えもしなかったからです。
病院以外で働くと、診療放射線技師でなくなるという意識を持っていたからともいえます。
ただ委員会やマネジメントチームの業務では事務的な仕事を多くしていたので、医療従事者として医療にかかわる業務をもっとしたいと思いながら、このような事務的な仕事が多くある現状は、理想と大きくかけ離れているように思います。
正直、白衣を着ていなくてもいいのではないかとも思っていました。
夜中や休日であっても緊急の検査などに対応するのは喜んでできますが、事務作業で残業をするという状況は望まない内容の業務です。
白衣を着て事務作業に専念しなければならない状況があるのは耐えられないといった感覚となっていましたので、転職なども考え始めていましたが、やっぱりせっかく合格して取得した国家資格を活かさないという選択はできないとも思っていました。
そんな時に偶然、近隣の地方自治体で診療放射線技師の公務員採用試験が実施されるのを知ります。でも公務員なんて採用試験に合格できるはずがないという印象の方が当初、強かったです。
しかし、これならば診療放射線技師の国家資格を活かしながら、医療機関以外で働くことができ、なおかつ事務的な作業の仕事である公務員は、ここ最近の業務の中心となっている事務的な作業も役に立たせることができる働き方なんじゃないかと思い、チャレンジすることを決めました。
そして、採用試験を見事合格することができ、診療放射線技師の国家資格を活かせる新たな仕事を手に入れることが可能になり、退職することとなりました。
放射線技師を辞めるべき人・辞めないほうがいい人
診療放射線技師という職種は、中途採用の求人数が極端に少ないことから、一度他業種の仕事に就くと放射線技師として再就職が難しい職種です。
もし他業種で働くのであれば、放射線技師でなくなるという覚悟、いつかまた放射線技師をしたいのであれば中途採用してもらえるだけの実績や強みが必要となります。
辞めるべきではない人
- 他にしたいことがない人
- 家族など周囲の人の理解が得られない人
- 変化をあまり好まない人
- 自信を持って仕事ができていない人
- 心配性な人
国家資格が必要な仕事を辞めるのであれば、明確な理由がなければ辞めるべきではありません。自分自身を含め周囲の人に対して納得させられるだけの理由がない状況では、ただ現状から逃げているだけとなってしまいます。
国家資格まで取得して働いてきた仕事で、自信を持って業務をできていなかった人が、他の仕事であれば自信を持って取り組めるという可能性は低いはず。
変化を好まない・心配性の人も同じく、今までと異なる状況に置かれることが得意ではないのですから上手くいかないリスクが高いといえます。
辞めてもいい人
- したい仕事が明確にある人
- 周囲に反対されても説得ができる人
- 向上心がある人
- 用意周到に準備ができる人
- 将来のビジョンが描ける人
診療放射線技師を辞めたあとにすることが決まっている、やりたいことがある、将来を見据えたビジョンがあるなど、このようなケースであれば、周囲の反対も説得ができると思います。
あらゆることに対しても、用意周到に準備ができ対応できる力があれば、国家資格などなくてもやっていくことが可能です。
逆にこれぐらいのことができなければ、現状の仕事環境を変化させること自体がデメリットになってしまうはずです。
放射線技師を退職するときのアドバイス
退職するということは、1人分の欠員が生まれるので退職する時期は考慮することが円満退職にもつながります。
また前職の印象が新しい職場に知られるのではないかという不安もありますよね。これは病院を退職し、別の病院に転職するという同業種間の転職であれば、退職方法だけでなく勤務状況も含めて印象が悪ければ、噂となる可能性はないとはいえません。
同業種だからこそ、前職での印象を雇う側が知りたいと思う可能性があり、病院どうしのつながりなどから知りえることが可能だからです。
しかし、医療業界以外への転職であれば、人と人のつながりがないので噂となる可能性は、ほとんどないといえます。
でも、引き際は人間性が出るものです。なので、意識して和やかな退職を心がけましょう。
退職する時期は3カ月前がベスト
一般的に、退職は退職希望日の3か月前に伝えるいいでしょう。直前でも辞めれなくはないですが、確実に円満退職とはなりません。
さらに業務の忙しくなる時期や人員配置の関係上、年末年始や年度末などに欠員とならないよう、そのような時期に退職希望日が重なるのであれば、早めに伝えるようにしておくと、気持ちよく退職が可能です。
退職理由はオブラートに伝えたらいい
退職理由として、「一身上の都合により退職します」というのは一般的によく耳にします。退職願や退職届は、このような理由の記載で構わないと思います。
しかし、直属の上司などには、実際の理由を詳しくなくとも簡単な表現で、伝えておくとスムーズに進むことが多いです。
他の人に、知られたくない理由であれば、一言口止めを添えておけば大丈夫です。もし、本当に知られたくないのであれば、正直にその旨を伝えればいいと思います。
一般的的には、直属の上司にまず退職願を手渡しするのが一般的ですが、退職願・退職届については、上司に提出を求められた場合に出せばいいです。
【補足】退職金は勤続年数に応じてもらえる
退職金は、規模に関わらず病院やクリニックは比較的あるのではないでしょうか。ただ、各勤務先ごとに就業規則が異なる退職金規定があります。
退職金制度がある施設では、勤続年数に応じて、一律決まった金額が支払われる場合、勤続年数にある係数を乗じ、その数値に金額を乗じた額が支払われる施設があります。
また、入職歴の浅い職員は対象外の場合があるので確認が必要です。勤続年数が3年以上や5年以上といった、ある程度の勤続年数を支給対象の条件としている場合が多くあります。
またさまざまある基金などに加入している場合は、その対象額の扱いが一括支給と年金として支給してもらうことの選択が可能な場合もあります。
私が行政職員(医療行政)へと転職した理由
これは先ほども触れましたが、いくつかの条件が合致したからであります。
- 転職をしてみたいという想いが沸いていたこと
- 診療放射線技師国家資格を活用できること
- 会議や業務改善に向けての院内調整の経験が自信となっていたこと
- 資料作りや議事録作成などの事務的作業が苦手ではない
- 公務員という職業なので周囲の賛同が得やすい
このような条件が揃っていたことが行政という場への転職を決断できた理由です。
また採用試験があるため、一般教養等の公務員ならではの勉強が必要ですが、そのような勉強が苦にならず、楽しみながらできるタイプであるということが、合格する可能性を高めたということもあります。
このように勉強ができたことにはあるモチベーションがあったことが理由です。
- 合格すれば公務員になれること
- 合格できなくても現状維持
- 新卒以来の選択のチャンスが得られること
特に、選択のチャンスが得られるということが大きかったと思います。採用試験を受けるだけなら無料ですし、勉強用の問題集購入費用だけで選択するチャンスが与えられるというのに、挑戦しないという選択肢はありません。
この結果、採用試験に合格し、選択するチャンスを手に入れることができました。
放射線技師からのおすすめ転職先
診療放射線技師をやめたあとの仕事におすすめなものを3つ紹介します。
放射線技師から公務員
私の経験上、公務員になるのであれば医療資格を取得して、資格職採用枠での公務員になることが一番の近道だと考えます。
新卒でも採用試験には受験可能ですが、一度は医療現場を経験しておくことが、医療行政に携わるうえでは大きなメリットとなります。
この現場経験は、採用試験でもメリットとなります。面接などでアピールすることができ、現場を知った人間を採用したいという意図があれば新卒にはない強みとなるからです。
放射線技師から放射線機器関連メーカー技術者
メーカーへの転職は、医療現場の経験をフィードバックすることができます。
お客さんが同職種であるということで、要望についても理解がしやすくお客さんの立場に立つこともでき、メーカー側の立場と両方の視点で仕事を進めていけるというのは、大きなメリットとなります。
大学を卒業後、医療機関以外ではこのようなメーカーへの就職が多くを占めています。
放射線技師から介護事業者
医療と介護は、密接な関係にあります。だからこそ、医療の経験が介護に活かせることもあります。診療放射線技師でも取得できる介護系の資格もありますし、努力とパワーがあれば事業所を立ち上げることも可能です。
介護に携わる人、看護に携わる人、かかりつけ医、介護用品など、事業所開設に必要な人や物は、診療放射線技師時代の人脈が活かせるというのが強みとなります。
放射線技師から転職するときのポイント
転職をしようとするのであれば、診療放射線技師としての経験しかない自分には、医療業界・病院以外ではどんなことができるのか、どんなことに興味があるのかをしっかりと自己確認する必要があります。
私が転職活動時に重視したポイントをご紹介します。
-
1.何を重視するのかを明確にしておくこと
これが明確でないと今後の転職活動の柱がなく、不安定なものとなってしまいます。
-
2.納得いくまでやりきること
転職活動は、中途半端では上手くいきません。
-
3.医療での実績や自信をどこまで利用するのか
転職活動をするにあたっての過去の経験をアピールすることには利用できますが、そういったものにいつまでもしがみついていることもできません。
-
4.他業種では、医療業界の経験が通用しないことを理解する
過去の経験や実績は、意味がないという評価を受けることも理解しておくことがモチベーションの維持に役立ちます。
-
5.新しいことにチャレンジする気持ちを持ち続けること
転職を成功させるには、これから取り組むことを取捨選択し過ぎることなく、何でも挑戦していくぐらいの気持ちが必要です。
まとめ
診療放射線技師という資格は、医療業界や医療関係機器業界以外では、活用しにくい資格です。
辞める時にはそれなりの決断が必要となります。私の場合は、行政職員の経験を活かして、再び医療業界へ戻れましたが、一度離れると戻ることが難しくなる職種です。
転職するのであれば、覚悟をして突き進むか、実績を作って戻るという選択肢を掴むか、という2択となりますが、どちらもそれなりの努力が必要です。
また転職をせずに現状維持という選択肢もあります。ただこちらは不満があれば我慢をする必要があります。
そのため、結果がどうであれ、転職に気持ちが傾いているのであれば、とりあえず、転職活動だけ試にされてみることをおすすめします。
まずは、仕事の適性を調べてみませんか?
放射線技師を目指すのはやめたほうがいいのか、放射線技師の仕事を辞めるべきかと悩んでいるあなたへ。
ミイダスを使えば上記4つが分かるテストを受けることができ、下記のような質問に回答後、詳しい解説付きで仕事の適性を把握できます。
今の状況を改善できるヒントが必ず見つかるはずですよ。
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